ザ・クロマニヨンズ『HEY! WONDER』を聴く

ザ・クロマニヨンズの新譜『HEY! WONDER』。
まさかここへきてバンド史上最長の収録時間を要する曲がくるとは…。
“ギター・ソロは聴かない”だとか“映画は倍速で観る”だとか、受け手側がなんでもかんでも省略してしまう傾向にある昨今、そんな世の中の風潮など関せずな姿勢が素晴らしい。
むしろクロマニヨンズはこれまではどちらかというと、かなり曲の尺は短かった。
それがここ数作をみてみると、以前として3分前後の楽曲が中心であるものの、どっしりと聴かせる尺のある曲がちらほらと窺える。
時代を逆行する、だなんて本人たちは意図していないだろうけど、「クロマニヨン」(=原始)…なんとなくバンド名に相まっているような感じがして、そのへんもリスナーとしては楽しめるところ。

詞も冴えているように感じる。
マーシー作の「ゆでたまご」とか。
日常の何気ない行為から、人生の様々な場面の逡巡と選択・成功と失敗・歓喜と悲哀といった壮大なテーマへと飛躍、昇華してみせる言葉選びの妙は堪らない。
2019年発表の「クレーンゲーム」に通ずるものがありますね。

あいにくいろいろなことが重なり、まだ数回しか聴けていないのだけれど、いやはやなんともはや、聴きどころに富んだアルバムだと思う。
これから繰り返し聴き込んでいくのが楽しみな作品です。




聴きたい音楽が多いのに、それに割ける時間が少ない、ジレンマ。
生活の無駄を省いていきたいですね。



ザ・クロマニヨンズ「あいのロックンロール」



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