「桜のころ」を聴く

坂本龍一氏が作曲し、甲本ヒロト氏が作詞した楽曲「桜のころ」。
2002年、サッカーワールドカップの日本代表応援歌として制作されたらしいのだが、当時そんなに話題になっていた記憶もなく、あまり広く周知されていないような気がする一品。
少なくとも、私はまったく知ることなく過ごしていた。


私が楽曲の存在を知ったのは、それから3年ほど経過した2005年のこと。
友人の兄に、熱狂的な“ヒロト・マーシー フリーク”がおり、同じくブルーハーツ、ハイロウズに傾倒していた私のことを気遣って、友人が仲介していろいろCDを貸してくれた時期があった。
その中に、この作品も存在していた。


「えっ、こんなのも出してたの!?」
と、驚きと同時に非常に感激したのをよーく覚えている。


時代が違ったならもっと話題性をもって取り上げられたのかな、などと思いつつ、そうした外野の持て囃しを嫌うかのようにジャケットには曲タイトルのみで、一切名前のクレジットがない。そこがまたなんともクール。
(※帯などには作詞・作曲者は明記されている)


坂本龍一、甲本ヒロト……
その名だけでもスゴイ組み合わせだなあ、と思わされるのに、Track-2以降の別ver. に携わった者のクレジットを見たりすると、ごった煮感が増してカオス。
そこまで商業面で戦略的にならずによかったからこそ成し得た所業か、そう考えると、いろいろと作為的な面が鼻につく現代のコラボと比べると健全な印象。


友人の兄からCDで借りた当時は、MD(←懐かしい!!)にダビングして聴いていたものだが、そしてそのMDは今もなお所有しているのだが、如何せん、再生できるプレーヤーがもはやない。
久しぶりに聴きたいなー、と思っていた矢先、中古ショップで見掛けたので購入。
CDの現物を手に入れることが叶いました。


一度聴いたら口ずさめるメロディ、シンプルで簡潔な中に含蓄ある言葉遣いは、クセになる。
詞に関しては個人的に、この曲に限らず、“漢字表記にするか、ひらがな表記にするか”の棲み分け方も見どころのひとつだと思っている。好き。


ちなみに、友人の兄から借りたCDの中にはマーシーこと真島昌利氏のソロ作品も網羅されており、当時は製造中止でプレミアの付いていた『RAW LIFE』『人にはそれぞれ事情がある』もしっかりとあった。
大した苦労もなくあの名盤に辿り着けた自分の境遇がどれほど恵まれたものだったのか、あとあと大いに思い知ったものだ。
弟の友達、という得体の知れない存在に対して惜しみなく貴重品を差し出せる懐の深さ、ありがたや、いいお兄さんだったなー。深く深く感謝!!


※「桜のころ」自体は特にプレミア付いたりすることなく、比較的容易に手に入ると思います。気になった方はぜひ、探してみてください。



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