映画館へ行けなくなった話

もともと映画は好きな方で、かつては月に一度ほどの頻度で映画館へ足を運んで観に行っていた。しかし、ここ数年のうちに、ある理由で観に行けなくなってしまった。
鑑賞マナーの低下だ。上映中のお喋り、スマホをはじめとした携帯端末の使用、それら悪癖を持った鑑賞者たちが増加している。そうした無秩序な環境が、私にはどうにも耐えられない。


ひそひそ聴こえてくる会話、ちらつく液晶の明かり、それらによって集中力が削がれてしまう、といった損害はさることながら、それ以上に、禁止されている行為を平気で破る人間が同じ空間に居る、という嫌悪感が凄まじい。
月に一度の楽しみ――その一回の上映を至福の時間と捉えて鑑賞に臨んでいる身にとっては、ルールの守れない身勝手な人間が紛れ込んでいる状況が、どうにも気色悪い。せっかくの期待感も途端に興醒め。とてもじゃないけど、看過し難く許せない


問題は、こうした状況を踏まえた上での映画館側の対応だ。
MOVIXおよびイオンシネマに相談した経験があるが、返ってきた回答は概ね以下のとおり。
・各スクリーンに常駐して監視役の係員は配置することができない
・故に、もし違反行為を見掛けた場合は一度離席して受付の従業員に報告をするのが最善
・内容を聞いた上で、違反者には注意を行う
・離席したことによって見逃したシーンへの補償は、希望があれば返金対応


「上映中の会話、携帯端末の使用は禁止」
ルールとして謳ってはいるけれども、結局は鑑賞者の良心に頼った、努力義務に過ぎないのだ。
実際に違反者がいたところで、館としては能動的に取り締まることはしない。もし気になるのであれば、教えてくれれば対応してあげますよ、の姿勢。
利用者側としては、何も悪いことをしていない自分が、なぜ途中離席をしなければいけないの? と思うし、たとえ返金されたとしても、こちらはわざわざその日その時間に合わせて足を運んでいるのだ、その時間は返ってこないし、楽しみを踏み躙られた気持ちも修復されはしない。
「お金返すんだし、また観に来ればいいじゃん」で済む話ではない、それ以上の多大な損害が発生していることを、もう少し深刻に受け止めるべきだと、個人的に思う


施設としてはっきりと取り締まる力がないのであれば、いっそ会話もスマホ使用もOKにしちゃえば? とさえ思う。その方が容認できるから、余程いい(まあ、そうなったらなったで、そんな無秩序な場所へは自ら進んで行くことはないだろうが)。
「映画館離れ」だのと言って被害者面をする前に、なぜそんな状況に陥っているのか、サービスの提供者側として、根本をもう少し考えるべきだ。料金ばかり上げて、サービスの質が下がっていけば、自ずと人は来なくなるでしょう、自明の理である。
少なくとも私は、今のこうした利用環境ではとてもじゃないけど楽しめない、その理由で映画館へ行かなくなりました、いえ、行けなくなりました。
もうかれこれ3年ほど、足が遠のいている。
何か改善へ向けた具体的な動きが見られない限り、今後も行くことはない。







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■今日の一曲
Slippers「Til You Know」

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